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「ボールルームへようこそ」感想 スポーツマンガの王道展開+男女カップル競技としての面白さ

先日、『ボールルームへようこそ』最近出た最新巻の9巻まで読みました。

しばらく休載していたらしく新刊が出るのは約2年ぶりとのこと。

月マガ17年1月号から連載が再開され、7月からはアニメの放送もスタートします。

「競技ダンス」という題材にも興味をそそられ9巻まで一気読みしました。

 

競技ダンスって何?

競技ダンス-ウィキペディア

社交ダンス-ウィキペディア

 

「社交ダンス」というと自分の場合、映画『Shall we ダンス?』は見たことがあります。
あと「ウリナリ」などTVのバラエティー番組で芸能人社交ダンス部とかもやってましたね。

今までダンスを教わったりする機会もなかったので、なんとなくのぼやーとしたイメージしかなかったんですけど。

 

どうやら「社交ダンス」という場合は主に社交・趣味で楽しむもので、小さい子供から中高年まで幅広い人が対象になるようです。

それに対して「競技ダンス」という場合は同じダンスでも、コンペ(競技会)に出場して優勝を目指すもので、スポーツとしての面が強く、ダンススポーツとも呼ばれるそうです。

マラソンでいうと、市民ランナーとして自分のペースで楽しんで走っている人と、オリンピックで金メダルを目指す人のような違いがあるようです。

国際大会も多く開催されていて世界的には競技人口もかなり多いみたいですね。(イギリスのブラックプールで毎年5月に行われる全英選手権が競技ダンスの最高峰とのこと)。

 

マンガを読んで競技ダンスに興味を惹かれたんですが、マンガだけだと分かりにくい場面も多いですね(素人的にはダンスの動きがどうなっているのか、マンガで読んだだけだとよく分からなかったり)。

youtubeで「競技ダンス」の動画を沢山見ることができるので、色々動画で見てみるとダンスの種目や曲、振り付けなど動きが分かるので「なるほどこういう感じか」、と理解しやすくなりました。

国内のダンス競技会の動画がいくつも上がっているので、「ボールルームへようこそ」の作中で描かれている世界はリアルだとこういう感じなのかとイメージがつかめました。

国内の選手のダンスも素人目にはすごいですけど、ブラックプールファイナルの選手とかまたちょっと格が違う感じですね。
日本の大会は体育館みたいなところでやっていることが多いけど、ブラックプールはホールの建物からして格調が高い。
(観客もみんなタキシード・ドレスで正装してて会場の雰囲気が別世界みたい)。

 

スポーツマンガの王道展開+男女カップル競技の面白さ

「ダンス=スポーツ」というイメージが自分にはあんまりなかったんですけど、この作品ではダンスが「王道展開のスポーツマンガ」として素人的にも分かりやすく・読みやすく描かれていて、スポーツ競技としてもマンガの題材としても興味を惹かれました。

スポーツ系マンガは少年マンガの主要人気ジャンルですから、過去多くの優れたヒット作が生まれていて、「どうすれば人気が出るか・面白くなるか」という、いわゆる「ヒットの方程式(=王道展開)」がかなり確立されているジャンルだと思います。

マイナーな競技のスポーツマンガだと、読者にとってはルールもよく分からないし馴染みがないので、敬遠される(読んでもらえない)というか、初めから入り口が狭くなってしまいがちなんでしょうかね。
(特にダンスは「女の子の習い事のイメージ」があるので、男子が興味を持ちにくいような気がしますね)。

9巻巻末の作者のコメントで「題材がダンスということで、掲載誌からあまり歓迎されない連載スタートだったと思います」と書いてあるので、「競技ダンス」という世間的にもマンガ的にもマイナーな題材(ダンス=男子受けしにくいイメージの題材)でいかに読者を引き込むか、苦心したのかなと思いました。(←勝手な想像)。

 

その点でこの作品は、題材はマイナーな競技でありながら、スポーツマンガの王道展開をうまく踏襲していて、冒頭から読者を上手にストーリーに引き込み、読者の興味を引っ張り続け、熱い展開の連続で、勢いで一気に読ませる力のある作品だと思います。(ダンスの知識が無くて読んでてよく分からないところがありつつ引き込まれた)。

「気弱で冴えない男子(中3)が、競技ダンスと出会い成長するストーリー」ですから、まあよくあると言えばよくある話なのですが、競技ダンスに読者の興味を引き寄せるためにあえて分かりやすい王道展開を踏襲しているのかな? と思ったりしました。

 

具体的には物語導入の部分が『はじめの一歩』に似ているかなと思いました。

真面目タイプの主人公(多々良)がクラスメートにいじめられていて、通りがかったプロ選手(仙石さん)に助けてもらい、競技ダンスの世界に引き寄せられていく・・・、という冒頭の展開は、「なんか一歩に似てるなあ」という第一印象でした。

といっても、「一歩」に似てるかな、と思ったのは物語の導入部ぐらいで、その後はこの作品独自の世界(=競技ダンスの世界)が描かれていきます。

 

 

あと、この作品の特徴(他のよくあるスポーツマンガとの違い)は、競技ダンスが必ず「男女ペア」で競技会に出場する競技であるところかなと思いました。
(中学の大会までは女の子同士のカップルでも大会に出られるけどそれより上の大会には男女ペアで出るしかないとのこと)。

基本的にはスポーツって男女別々で行われることが多くて、男女ペア(男女混合)で行われる競技はそんなに多く無いですよね。

ダンスが題材のマンガって、バレエなどは昔から少女漫画とかでありましたけど、男女カップルの競技のスポーツマンガってまだ数が少ないと思います。

 

男が主人公のスポーツもので女子が登場する場合、大抵マネージャーなどのサポート役(&恋愛対象)だったり、大体は「おまけ」みたいな存在でしかないことが多いですかね。(女が主人公のスポーツマンガも同じ)。

でもこの作品の題材である競技ダンスは必ず「男女カップル」で戦うことになるので、競技者(アスリート)としての関係(=協調やぶつかり合いなど)、男女のパートナーシップがストーリーや作品のテーマ上大きな比重を占めています。

特に高校生になってから(5巻以降)主人公の多々良とカップルを組むことになる「緋山千夏(ちーちゃん)」が登場してから、男女ペアの衝突・葛藤が大きなテーマになってきて、男女カップル競技ならでは(この作品ならでは)の独自の面白さが顕著に・深く描かれるようになったと思います。

「男女のパートナーシップ・男女の役割のあり方」がストーリー的に大きなテーマになっていますが、それでいてどのキャラクターもストイックに真摯に競技やパートナーと向き合っているので、さっぱりしていてくどくなくて好感が持てますね。

「スポーツマンガの王道展開」で読者を引き込む構成の上手さと、「男女カップルで戦う競技」としての面白さ(難しさ?)がこの作品の魅力なのかなと思いました。

 

7月からはアニメもスタートするし、動きのあるダンスシーンがアニメでどのように表現されるのかも見どころになりそうで、楽しみです。