「 マンガ 」一覧

「夢で見たあの子のために」 第1話 感想

先日、三部けい先生の新連載『夢で見たあの子のために』第1話を読みました。

アニメや実写映画にもなり、話題を呼んだヒット作『僕だけがいない街』の完結から8か月。

今回の新作も僕街と同じく現代を舞台にしたサスペンス作品になるようです。

 

以下ネタバレ注意

 

 

【事件】

・事件が起きたのは13年前。主人公「中條千里」が5歳のころ。

・千葉県市原市の木造戸建て住宅に住んでいた一家が何者かに襲われた。

・千里の両親は死亡。千里の双子の兄「一登」は犯人に連れ去られ、それっきり行方不明(生死不明)。

・事件があった夜は豪雨だったため犯人の痕跡が洗い流され、事件は未解決のまま。

 

【登場人物】

中條千里:
現在高校3年。葛飾区の「中條青果店」にお爺さん・お婆さんと住んでいる。事件後、児童養護施設「もみじ園」に入所していた。自作自演でカツアゲしたり、法的にアウトな方法で金を稼いだりしている。

一登:
千里の双子の兄。13年前の事件の時犯人に連れ去られ、そのまま行方不明になっている。

恵南:
千里と同じ高校に通っている女の子。千里がもみじ園にいた頃からの付き合い。(恵南は今も「もみじ園」で暮らしている)。危ない方法で金を稼いでいたり、事件(犯人への復讐)を今でも忘れていない千里のことを心配している。

 

現代が舞台で、幼いころに起きた事件がストーリーの主軸になっている点など、なんとなく「僕街」との共通する雰囲気も感じられるこの作品。

冒頭から事件の回想シーンから始まり、事件や物語の全体像についてはまだ不明な点が多いですが、さっそく謎や伏線がちりばめられているようで、サスペンス・ミステリー作品としてじっくり読ませる作品になりそうですね。

前作「僕街」では、過去の事件と現在を繋げる(行き来する)ために「リバイバル」(タイムリープ)する能力がストーリーのカギを握る存在になっていましたが、今回は「双子の記憶の共有(?)」が作品のカギになりそうです。

 

まだ第1話を読んだだけなので不明な点も多いのですが、

誰かに殴られたり、ビンで自分の肩を叩いたり、主人公の千里は身体に「痛み」(打撃系?)が加えられることで、「過去の記憶」が甦る特殊能力(現象)の持ち主のようです。

それも、身体の痛みで思い出す時の記憶(映像)は、千里自身のものではなく、双子の兄「一登」が見た過去の記憶(映像)であるようです。

事件当時の記憶なら千里自身にもあるのですが、千里自身の通常の回想シーンの場合はコマの枠の外が黒で塗りつぶされている描き方(マンガの過去回想シーンでよく使われる描き方)になっており、

一方、双子の兄の記憶と思われる映像の場合は、古いビデオテープのような荒い映像(昔のテレビの砂嵐のようなノイズが入った映像)のようになっており、通常の回想シーンと区別できるように描き分けられていました。

要するに、「身体に痛みを加えられる度に、生き別れた双子の兄の過去の記憶が映像としてよみがえる能力(?)」のようです。

身体に痛みが加わる度に、犯人に連れ去られた双子の兄の記憶がよみがえるわけですから、事件の記憶が風化することもなく、事件当時の幼いころから現在まで、千里は犯人に対する怒り(復讐)を忘れたことが無いようです。

 

 

あと気になったのが、事件当時の家の階段下にあった収納庫(小さな物置部屋)。

外から鍵が付けられており、誰か閉じ込められていた人が、中から体当たりして鍵を壊して出てきたような痕跡がありました。

事件の時、千里だけ現場に残されていたこと、その時千里が肩を手で押さえていたことなど、状況から推測すると、階段下に閉じ込められていたのは千里で、事件が起きた時収納庫の中にいたために犯人に見つからずに済んだ? ということなのかなと思いました。

子供をお仕置きで押し入れなどに入れておくことは、わりとよくあるかなと思いますが、わざわざ鍵までつけて5歳の子供を閉じ込めていたとすると、躾にしてはやや過剰な気ががしなくもないですね。

 

 

また、千里は事件後「包丁を持った犯人」の絵を描いているのですが、もし階段下の収納庫に閉じ込められていたのであれば、千里は犯人を見ていないことになるので、この絵に描かれた犯人の姿は、千里が見たのではなく双子の兄の一登が見た記憶なのかも? しれないですね。

その犯人の絵には、腕に特徴的な「傷跡」(漢字の「火」の字みたいにみえる傷跡)が描かれていて、今回の第1話ではたまたま見たTV番組にその「腕に傷がある男(=犯人)」が映っているのを千里が見つけていました。

この双子の兄の一登の記憶は断片的なもののようで、木から落ちた時の記憶とか、事件とは関係ない記憶(映像)も甦るのですが、この兄が見た過去の記憶が、犯人を見つけ出すための手掛かりを与えてくれるものであり、双子の絆(繋がり)の証でもあるようです。

高校3年になった千里が鏡や車の窓に映る自分の姿を見るたびに、双子の兄を思い出しているようなシーンがあるので、この双子の関係性もこの作品の重要なテーマになりそうですね。

 

 

あと気になったこととしては、千里はチンピラみたいな悪そうな連中とつるんでいて、自作自演のカツアゲみたいなことを何度もやっていて、やさぐれているというか、あんまり正義の主人公という感じはしないですね。(奪われた金を取り返してあげたので正義の味方かと思ったら、実は自作自演だったという)。

同級生の半年分の塾代(20万)をチンピラ仲間にカツアゲさせて、取り返してきた半分をもらう(=20万の内7万を返して、残り13万は仲間と山分けする)という、法的にアウトかつ割とせこい方法で金を稼いでいます。
(普通のバイトだと、嫌な奴をすぐに殴ってクビになるので数日しか続かない)。

同級生から金を奪っているわけですが、それでいて取り返してきたと言って金を「半分を返す」というのも何かせこいですね。どうせ悪いことするんなら全部もらっておけばいいと思うのですが、少し返した方が相手の留飲も下がって大事になりにくいという狙いなんでしょうか?

あるいは相手に「半分」返す(奪う)、というのが「双子(片割れ)」が奪われた事件を連想させるので、他人に頼らずに「自分で取り戻せ」という意味があるのかもしれないですね。(「カツアゲした半分を取り返す=双子の片割れを取りかえす」ことの暗示?)。

しかし、まあ、犯罪の被害者だった主人公が同じようなことを他人に繰り返す加害者になってしまっている? ・・・みたいな印象ではあるのですが・・・。主人公の性格とか、まだわからない部分も多いので今後の展開が気になりますね。

 

とりあえず「犯人への復讐」「双子の繋がり(関係性)」が今後のストーリーの主要なテーマになりそうな感じですね。

まだ第1話で謎の部分が多く、今後どうなるのか楽しみです。

 

「僕だけがいない街 Re」【雛月加代】 外伝 感想