先日「夢で見たあの子のために」 第23話を読みました。
以下ネタバレ注意
今回も前回から引き続き冒頭から一登と火の男サイドの視点でストーリーが展開されていました。
これまで、ほぼ一貫して千里の主観に近い視点でストーリーが描かれていましたが、今回は初めて千里の出番がゼロ。
それと入れ替わるかのように、今回は一登サイドの視点からこれまで謎だった事件の裏側が語られていました。
(一登が前頭部に重傷を負った場面も描かれていた)
主役交代というわけではないんでしょうけど、いよいよ双子の片割れの一登がもう一人の主人公として本格的に登場してきたかなという感じ(これからは「W主人公」(?)みたいになるんでしょうかね)。
「火の男」の存在も今までずっと謎に包まれていましたが、今回も出番が多く「火の男」の人物像も徐々に明らかになってきました。
前回から一登サイドの状況が描かれるようになったことでストーリーの幅も広がってきた感じがありますが、今回の新展開で明らかになってきたこととして自分としては以下の3点あたりが気になりました
①火の男の人物像(火の男がどんな人間なのか?)
②火の男と一登の関係性
③一登の現在の状況(「殺し屋」と呼ばれるようになった一登が現在どうなっているのか?)
火の男の人物像と一登との関係性
これまで「火の男」は暴力的な凶悪犯というイメージしかありませんでしたが、21話で登場してから一登との会話を見た限りでは、フランクな態度だったり落ち着いた話し方をしていてこれまでの断片的なイメージとギャップがあって割と意外性がある印象。
前回も「千里に会わなくていいのか?」と一登に聞いたり、「父親(?)」としてなのか、一登と千里の事を気にかけているような態度で一登と会話していました。
(あと修善寺のアジトに幼い一登のためにタイヤのブランコを作ってあげたりしていたようだった)
火の男が千里・一登の身内(「叔父」か「実の父親」)だったことが判明してから、家族関係(家族の愛憎関係)もテーマのひとつになってきているのかなと思いました。
自分の双子の兄弟を殺し不倫(恋愛)関係だった千里・一登の「母親」が死亡する事件を起こし、一登を連れ去ってそのまま手放すことなく育てているのでかなり家族に対する執着が強い印象がありますね。
(一登や千里にそこまで執着するということは火の男が「実の父親」である可能性が高いのかも?)
しかし火の男は闇組織との殺し合いに明け暮れる生活を送っており、一登を手元に置くことが一登を闇の世界に引きずり込むことになっていました。
殺人が日常のような闇の世界に引きずり込まれたために、一登は銃で前頭部を撃たれ重傷を負っていたし(傷の残り方から医者の治療も受けさせていないように見える)、学校にも行かせてもらえず、人殺しの手伝いをさせられ「殺し屋」になってしまいました。
表層的な部分としては「父親(?)」として一登を気にかけている態度を見せたりするけれど、本質としてはあくまでも自己本位で、一登の幸福を考えて行動しているとは思えない印象。
一登の現在の状況


▲23話より引用
13年前火の男に連れ去られ犯罪と殺し合いの日常(闇の世界)に引きずり込まれた一登。
前頭部に重傷を負った後はしばらくの期間修善寺のアジトで暮らしていたようです。
そのアジトの裏手には千葉の実家にいた頃千里と昇った山の上にあったのと同じような鉄塔が建っているのが見えました。
一登が一人で日が沈むのを眺めていて、日が沈んで辺りが暗闇になった時、
「夕日はすきだけど・・・ しずみっぱなしは イヤだ 」と言っていました。
また現在「殺し屋」として火の男と共に闇組織との殺し合いに明け暮れている一登ですが、闇組織の事務所への襲撃を終えた後、
「朝日見に行くんだよ
いつも闇ん中這い回るみたいな生活してるから・・・
俺が「生きてる」って実感する時って 朝日を見る時だけだからさ 」と言っていました。
犯行現場にいつも「A(鉄塔)」のマークを残したり、どうやら一登は千里と鉄塔の山の上から見た夕日の思い出を忘れておらず、大切に思い続けているようです。

▲第6話より引用
幼い頃二人で冒険に出てたどり着いた鉄塔から見た夕日の記憶。
日が沈んで、その日の冒険は終わりだったけど、二人で一緒に遠くを目指して進んでいく未来がこれから先も続いていくはずだった。
しかし、そのすぐ後ぐらいに火の男による事件が起きたことで二人は離ればなれになってしまいました。
「夕日」「闇」「朝日」というのは、一登の心象風景のことだと思うのですが、千里と見た夕日の思い出の後、火の男に連れ去られてから一登は闇から抜け出すことができないようです。
13年の空白の間に、一登はどんな時間を過ごしていたのか?
少しずつ明らかになってきましたが、まだ謎が多い。
優しかった一登がなぜ「殺し屋」になってしまったのか。
朝日を見ているときに生きている実感がする、といっているので、まだ光を求める気持ちがなくなったわけではなさそうですが・・・
一登が闇からの帰還を果たすことができるのか、千里と再会することができるのか。
「殺し屋」として、かなり人を殺してきたようなので何もなかったように元通りというわけにはいかないのかもしれませんが・・・
千里と一登それぞれが今後どのように動いていくのか
一登の登場で新展開になり引き続き今後の展開が楽しみです。