先日「夢で見たあの子のために」 第26話を読みました。
以下ネタバレ注意
前回のラストで、駒津刑事は千里に「会わせたい人がいる」と言って車でどこかに向かっていました。
到着した公園で駒津刑事が千里に会わせたのは、2年前に起きた殺人事件で殺されたという男の家族の母子(4歳の男の子とその母親)でした。

その犯罪被害者家族の母子の境遇は以下の通り。
・2年前に暴力団の末端構成員の男が殺された。
・男の子はまだ幼いため、父親は遠くの街で働いていると話している。
・殺された男の奥さんは肩身の狭い思いをしていて仕事もなかなか見つからない。
・駒津刑事の班が捜査担当で、犯人はまだ逃走中・・・
犯人はまだ逃走中と言っていましたが、駒津刑事がわざわざ千里を男の子と会わせたということはその殺人事件の犯人が一登である可能性が高いという事でしょうか・・・。
前回、駒津刑事は、
「殺人」というのは 人が一人減る現象の事じゃない
「人を殺す行為」は「多くの不幸な人間を生む行為」だ!
と千里に言っていました。
前回千里は一登の犯罪の幇助のようなこともやっていましたから(警察に誤情報を流させ捜査をかく乱していた)、駒津刑事としては、一登が行っている犯罪(殺人)がどんな不幸な結果をもたらすのか、千里にその現実を突きつける意図があったようです。
駒津刑事:
悪いのは僕だ 千里君と翔君には酷な思いをさせた
千里:
ウルセーな
ここにいる誰も悪かねえんだよ ただの現実だ・・・!
俺もあの子もいずれは 真正面から見なくちゃなんねえ現実だ
千里はこれまで「火の男」に対する憎悪を燃やし続けて生きてきましたが、離ればなれになっていた双子の兄弟の一登が「火の男」がやったのと同じ殺人という罪を犯してしまっているという現実・・・
父親が帰ってくるのを待ち続けている男の子の姿を見て、千里は一登が帰ってくるのを待ち続けていたかつての自分を思い出していました。
「加害者」としての一登(双子=「もう一人の自分」)と、「被害者」としての幼い男の子と、両方の立場が自分と重なるので、千里にとって「人を殺す」行為の罪の重さやそれがもたらす被害者の苦しみが誰より身に染みて感じられるようです。

千里:
あの子の境遇は「犯罪者」が作った
一登もその「犯罪者」かもしれねえ
・・・けど それでも俺は一登に会って一言言いたいんだ
「よく生きててくれた」・・・って
死んだと思っていた一登が生きていたのは良かったものの、火の男に連れ去られ「殺し屋」として育てられた一登は殺人を繰り返す犯罪者になってしまっている。
事情があるにせよ一登が犯した殺人の結果が消えることは無いし被害者が失ったものが帰ってくることも無いのですが、しかし千里は一登に会って「よく生きててくれた」と言いたいと恵南に話していました。
(特殊な事情があるので一登が法律でどのように裁かれるかよく分かりませんが・・・ )
これまで千里は「被害者」の立場から、「火の男」への怒りを燃やし復讐を果たすことしか考えられない状態でしたが、一登が生きていたことが分かって、初めて復讐以外の生きる目的が見えてきました。

医者:
脳のあちこちに異常が見られる
ここ10日程脳波を取ってみたんじゃが・・・
あの子は眠らない その代わりか知らんが
時折昏睡状態になる 前触れもなくな・・・
そして眠っていたかのように目を覚ます
いつか・・・ 目を覚まさない時が来るかもしれん
ひんぱんに昏睡が起きるようになったら・・・ 覚悟しろ
明日かもしれん 10年後かもしれん・・・
今回、回想シーンで一登が時々意識を失う原因が説明されていました。
前頭部を銃で撃たれた影響で、痛覚を失い、眠ることがなくなった代わりに突然昏睡状態に陥る。
一登が生きていたのは良かったものの、一登は犯罪者になっていただけでなく、頭部のダメージが原因でいつ命を失うか分からない状態になっていた。
医者は頻繁に昏睡が起きるようになったら覚悟しろと言っており、今回ラストで一登はバイクで走行中に突如昏睡状態に陥り転倒事故を起こした状態で意識を失ってしまいました。
千里にとっては一登と再会することが新たな目的になっていますが、一登の容態は今後どうなるか不明の状態。
千里と一登は再会できるのか、再会後に待ち受ける現実とはどんなものになるのか。
引き続き今後の展開が楽しみです。