先日「夢で見たあの子のために」 第40話を読みました。
以下ネタバレ注意
前回までの話で、「マスクマン」の手下とコンタクトを取った千里は破り取られていた「手帖のページ」を「マスクマン」が持っていたという情報を掴んでいました。
千里が持っていた手帖のページを破って持っていたのは金貸しの「金海」のはずですが、どうやら「模倣犯」が「金海」を殺害し「手帖のページ」を奪い、それを「マスクマン」に情報として与えていたらしい。
殺された「マスクマン」の敵を討とうとする手下たちに千里は、
・・・金だ?復讐だ?そんなモン ドブに捨てて来い
俺はそんなくだらねえモンの 1000倍!「大事なモン」に命張ってんだ!
とタンカを切っていました。
少し前までは「マスクマン」の手下同様、復讐に執着していた千里でしたが・・・「復讐」なんて「ドブに捨ててこい」と言い放つほど大きな変化を遂げていました。
復讐の資金を稼ぐためにカツアゲ仲間としてツルんでいたメガネの「瀬島」(3人組)もいつしか本当の仲間になっており、瀬島は今回千里のタンカを聞いて「初めて千里のためになる手助けができたかも」と思ったと言っていました。
恵南:
あたしもさ・・・アキラが言ってた「千里のタンカ」聞いて嬉しかったんだ
昔一緒にもみじ園脱走したの覚えてる? あれは・・・逃げるためだった・・・
あたしは子供の頃からずっと 自分を殺しに来た誰かの手で死ぬって思ってた
お父さんに殺された人の家族が 復讐に来るって思ってたんだ
友達も出来なくて毎日怖かったけど「悪者の家族は悪者」だから仕方ないって思ってた
でも千里がお前は悪くないって言ってくれて・・・
そう思ってくれる人もいるんだって思ったら 殺される怖さはウソみたいに消えたんだ
恵南が5歳頃、恵南の父親は不倫が原因で殺人事件を起こしており、露骨な中傷や世間の迫害に追い詰められた母親は首を吊って死んでしまいました。(母親は恵南に「罪を犯したら必ず罰が下るの。大切な人も巻き込んで」と言い残して自殺した)。
恵南は子供の頃からずっと、父親に殺された人の家族が自分を殺しに来る(復讐に来る)と思っていたとのこと。
(もみじ園に来てからも恵南は同じ入所者の子供たちから「殺人犯の子供」として中傷を受け迫害されていた)。
それが殺人事件の被害者の遺族(恵南とは逆の立場)である千里から「お前は悪くない」と言われたことで、父親が殺した人の家族が復讐するために来て「殺される怖さはウソみたいに消えた」と言っていました。
恵南:
みんなに悪者だって思われたまま死ぬのが怖かったんだねきっと
そしたら今度は別の怖さに気づいたんだ
あたしに復讐しに来た人があたしを殺して悪者になって
家族も悪者っていう目で見られるようになる・・・ その怖さ
だからあたしは誰かが復讐に来たら絶対逃げ切ろうと思ってた
・・・そう考えてたら 居たんだすぐ側に
あたしが絶対に止めなくちゃいけない子が
今日のタンカは ずっとあたしが聞きたかったやつだよ
ありがとう千里 あたしはもう何も怖くない
事件の当事者でもその家族でもない赤の他人にとっては、千里が言うように犯罪者の家族(加害者家族)は犯罪と直接的な関係は無いはずなのですが、世間的にはそれで収まる人ばかりではなく「悪者」扱いされて誹謗中傷や迫害を受けることになってしまうようです。
大人が起こした犯罪(殺人)に「加害者側」と「被害者側」それぞれの子供が巻き込まれてしまっているわけですが・・・
当時の恵南にとっては父親が起こした事件によってその家族である自分も「悪者」になり、父親に殺された人の家族が自分を殺しに来る(復讐しに来る)という怖さを感じるようになったようです。(強迫観念みたいですが・・・)。
「お前は悪くないだろ」と(殺人事件の被害者の家族の)千里に言われたことがきっかけで自分が「殺される怖さはウソのように消えた」という恵南でしたが。
殺人犯への「復讐」を果たすために犯人への憎悪を燃やし続けている千里がすぐ側に居たためか、復讐するために自分を殺しに来た人の家族が自分と同じように「悪者」の立場になってしまうことに対して怖さを感じるようになっていったようです。(千里の場合だと祖父母が世間から迫害されてしまうという事か)。
幼い頃に巻き込まれた事件によって被害者側・加害者側両方が受ける苦しさや怖さを心に刻まれた恵南でしたが、今回ついに千里が「復讐」を完全に捨てたことで、恵南も「ありがとう千里 あたしはもう何も怖くない」と言っていました。
一方で、「模倣犯」の正体についてですが・・・
破り取られていた「手帖のページ」を「マスクマン」が持っていたという情報を掴んだことで、「模倣犯」の正体を推測する千里でしたが・・・
状況から考えて(薄々怪しいと思っていたようですが)「模倣犯」の正体は刑事の「若園」で間違いないだろうという結論になったようです。
「火の男」への復讐をついに捨てた千里でしたが、一方で若園は「火の男」に迫るために殺人まで犯してしまっているし、もはや後戻りできないところに来てしまっているような・・・
しかも若園は復讐するはずの「火の男」の相棒になるつもりのようだし・・・
「火の男」への復讐という点で同じ道を進んでいた千里と若園ですが、それぞれどのような決着をつけることになるのか。
引き続き今後の展開が楽しみです。